[ この記事で分かること ]
電車の英語アナウンスのお手本(動画)
日本人が起こしがちなNG英語
NGを避けるポイントは「発音・早口・抑揚」
この記事では"電車の英語アナウンス"を題材に、英語の発音矯正のプロの視点から《日本人が陥りがちな英語のNGポイント》を解説していきます。講師による鉄道アナウンスのお手本動画もありますので、発音・リンキングの練習にもお役立てください!
1.電車でよく聞く英語アナウンス
1-1. 車掌さんが自ら英語でアナウンスする理由
電車に乗っていて駅に近づくと、
The next station is Tokyo.(次は東京です。)
The doors on the left/right side will open.(左/右側のドアが開きます。)
という英語のアナウンスをよく聞きますね。
ここ数年、自動アナウンスではなく車掌さんが自ら英語でアナウンスしていることがありませんか?
(鉄道会社や地域によっても異なるとは思いますが)
これは、訪日外国人が増える昨今、緊急時にも柔軟な案内ができるようにするためだそうです。
なるほど、緊急時に何が起きているか分からなければとても不安になりますが、
英語のアナウンスがあれば日本語がわからない方も心強いですね。
とても良い取り組みだと思う一方で、英語の発音矯正塾を名乗る者としては、
電車に乗るとその「発音」がやはり気になってしまいます。
正直なところ、「今の発音では通じないのでは…!?」と感じることも少なからずあります。
緊急時には特に情報を正確に伝えなければならないので、“通じる発音”でアナウンスしなければ意味がありません。
1-2. 鉄道アナウンスお手本動画
とはいえ、通じるネイティブ発音なんていきなり無理…という方も一定数いらっしゃるのではないでしょうか。
そこで、英語発音矯正塾講師の田中えりかに、お手本の鉄道アナウンスを発音してもらいました!
通常スピードでの発音、スローでの発音いずれもあるので、
ぜひ一緒に声を出して練習してみてください◎
お手本①:The doors on the left side will open.
[ ðə dɔ́:rz ɔn ðə léft sáid wəl óup(ə)n ]
お手本②:The doors on the right side will open.
[ ðə dɔ́:rz ɔn ðə ráit sáid wəl óup(ə)n ]
いかがですか?
全国の英語でお困りの車掌さんはもちろん、英語アナウンスをする必要がない方も、
日本語にない音「L」・「R」や、単語と単語の繋がり(リンキング)などを参考にしてもらえたらと思います。
さて、次の章では、
筆者が電車に乗っているときに感じる「よくあるNGパターン」を挙げてみたいと思います。
2.英語アナウンスのよくある「NGポイント」
2-1. 「NGポイント」の特徴
ここ数年で車掌さんが英語アナウンスをする機会が増えましたが、
恐らく「こんなに英語を話すことになるなんて…」と思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に電車に揺られていると、
・しっかり発音できている方
・発音は曖昧ながらも、全体的なイントネーションなど気を付けている方
・日本語アナウンスと同じトーン、カタカナ英語で話す方
など人によりかなり色が出ている印象があります。
具体的には、以下のような「NGポイント」がよく見られます。
1. カタカナ発音になっている
2. 早口になっている
3. 全体的に抑揚がない
車掌さんに限らず、日本人が英語を喋る際によく起こることでもあるかと思います。
詳しく見ていきましょう。
2-2. なぜダメなの?「NG」が起こる理由とは?
1. カタカナ英語になっている
カタカナ英語とは、その名の通り日本語のカタカナの発音とアクセントで英語を読むことです。
正確な英語の発音を知らないまま、「ザ ドアーズ オン…」とカタカナでルビをふって暗記すると陥りやすい現象ですね。
残念ながら、「TH」や「L」「R」などの日本語に無い音を発音できなければ、
相手がそれを「英語」だと認識できないので、伝わりません。
2. 早口になっている
これはアナウンスに限らず広く言えることですが、
英語を淀みなく話そうとすると、早口で言い切ろうとする傾向があります。
ですが、英語は決して早口なわけではありません。
英語が早く聞こえるのは、英語独特の音の繋がりを捉えられていないからです。
日本語は、1音ずつ区切って発音する言語なのに対し、
英語は、音と音が繋がりながら変化していく言語です。
なぜ、音が繋がり変化していくのか。
細かく言えばその理由はいくつかありますが、分かりやすいもので言うと「リンキング」です。
英語は日本語と違い「子音のみ」での発音が多々あります。
よって、「前の語尾の子音」と「次の語頭の母音」が繋がる(=リンクする)現象が発生するのです。
日本語で言えば、「好き・やねん」が「すっきゃねん」になるような感覚ですね。
つまり、意識して音を繋げているというよりは、
英語の舌の位置や口の動きを最適化すると、結果として自然と音が繋がるものなのです。
(もちろん、各国のアクセントにより程度の差はありますが)
これを理解せずカタカナ発音のまま「とにかく途切れないように」が先行してしまうと、
ただの早口言葉になってしまい、かえって不自然な英語になってしまいます。
3. 全体的に抑揚がない
抑揚が少なく平坦な発音も、日本語的な特徴が残っている証拠です。
元々日本語でも、車掌さんのアナウンスは特徴的です。
(お笑い芸人の中川礼二さんが真似しているほどコテコテなアナウンスも最近はあまり出会えない印象ですが)
これには、車内の日常会話に車掌さんのアナウンスが紛れないようにする目的もあるそうな。
一方で、同じように英語でアナウンスしようとすると、
かなり”英語らしさ”から離れてしまいます。
今回の例で言えば、一番伝えなければならない “left”・“right”の部分を強調して発音するなど、
声の高さ・ペース・大きさなどを文章によって使い分けると、
より伝わりやすい英語になります。
3.次回、具体的な発音解説
本記事のまとめと次回コラムについて
いかがでしたか?
今回の記事では、自動音声に頼らず英語アナウンスを行う車掌さんが増えているとのことで、
鉄道アナウンスを題材にお手本動画を紹介しました。
改めて、正確な情報を確実に伝えるためには発音が重要になるお仕事ですね。
ぜひ今回の動画と記事内容がそんな方々のお力になれたら嬉しいです。
また、英語を話す際によく見られるNGポイントとして以下を挙げました。
①カタカナ発音
②早口で話す
③抑揚がない平坦な話し方
これはお仕事に関わらず、日本人であればぶつかりやすい壁ではないでしょうか。
次の記事では、引き続き鉄道アナウンスを事例に、
これらのNGポイントをどう改善すべきか具体的な解説・アドバイスをご紹介予定です。
さらに詳細が気になる方はそちらも是非ご確認ください!
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